厚真町には開拓農家が造った、北陸地方の伝統建築様式の特徴を残す築100年以上の古民家が多く残っています。多くの古民家が現存しているのは北海道内ではとても珍しく、太平洋に面した雪の少ない地域のため、家屋が傷みにくく、柱や茅葺(かやぶき)の材料となる木々も多く自生しているためではないかといわれています。
町では平成25年から古民家移築再生整備事業を行っています。町内に残る農家古民家の構法やしつらえ、間取りを建築当時の姿に近づけて移築し、交流施設として活用できるように整備し、地域の活性化と町の歴史や文化を継承しながら、関係人口の創出を図る事業です。
厚真町の古民家のタイプとして多くみられるのが、「越中造民家(富山県)」、「加賀型・能登型民家(石川県)」、「越前型民家(福井県)」の3つのタイプです。
特に、越中造民家の特徴的な家屋構造の「枠の内(わくのうち)」を有する古民家は10件以上確認され、平成25年に移築再生した旧畑島邸も枠の内をもった広間があります。
使われている材料は、総ケヤキを最高とし、スギ、ヒバ、マツなどがつかわれおり、枠の内づくりの大きさが家格の象徴とされていました。
厚真町内で確認されている古民家は、「枠の内」づくりのものが最も多く、材料は当時町内に自生していたカツラを使っているのが一般的ですが、中には「富山県からはるばる船で材料と大工を運び約3年の歳月をかけて造った」といわれる古民家も残っています。