厚真町に古民家が現存する要因として、小雪寒冷かつ高温多湿の期間が短いなど、木材の品質保存に適した気候が挙げられます。
また、積雪量が多い北陸地方の伝統的構法で建築されていることから建物が頑健な造りであること、更には開拓者の子孫が先祖の労苦に対する尊敬の念と使命感から、個人の責任と努力により残し続けてきたことが理由として考えられます。
北海道開拓期、明治期から昭和初期にかけて、多くの移住者が入植しました。過去においては、日本各地の伝統的な様式の民家が多く点在していたと思われます。
しかし、北海道特有の厳しい気候条件による建物の老朽化や戦後日本の高度成長などを背景に、これら古民家の多くが近代的な住宅への建替えのため解体・撤去されたことにより、現在道内には、一部地域にごく少数が確認されるのみとなっています。
開拓者の労苦をともにし、かつての生活を今につたえる貴重な古民家が失われないよう、保存・再生し、有効活用を進めていくことが大切になっているのです。
厚真町では、古民家の移築再生事業を通じて、地域の歴史的価値を再発見し、文化遺産としての古民家を現代に活かす取り組みが進められています。
古民家の利活用を通して、移築再生された古民家が地域コミュニティの活性化や観光資源としての役割を果たすことを目指しています。
古民家を利活用することで、地域の伝統や文化を伝える場としての機能を持たせるとともに、地域住民や訪れる人々に古民家の魅力を再認識する機会を提供します。
パン屋、宿泊施設などとしての運用、または地域の工芸品の展示空間として利用することで、古民家の新たな価値を創出し、地域経済の振興にも寄与します。
厚真町の古民家移築再生事業は、過去と現代の架け橋として、地域の持続可能な発展を目指すモデルケースとなっています。