大垣勇人さん(夫34歳)、加那絵さん(妻37歳)、杜子ちゃん(長女0歳)。 ※年齢は取材時
勇人さんは米や麦、野菜などを作る農家。加那絵さんは中学校教員。
2015年3月より厚真町在住。
大垣勇人さん(以下、勇人さん):僕は厚真町出身。父が農業を営んでいました。子どものころは手伝ったりしていましたね。しかし、美容師になるため20歳のときに厚真を離れ、札幌へ引っ越しました。仕事も軌道に乗り、人間関係にも恵まれていたのですが、今後の人生を考えた時、実家の農家をつごうと思ったんです。ちょうどそのタイミングで父から農業をやめることを聞きました。じゃあ今だなと思って、厚真町に戻ることを決意したんです。札幌出身の妻を連れて、厚真に戻ってきたのが2015年3月のことです。
大垣加那絵さん(以下、加那絵さん):2013年に結婚するまで、主人の出身地である厚真のことは、名前も場所も知りませんでした。初めて訪れた時の印象は、まわりは畑ばかりだしお店も少ないし…、本当に田舎だなぁって思いましたね(笑)
加那絵さん:当たり前ですけど、私は知らない人ばかりでした。ただ、子育て支援センターに娘と一緒に足を運んでいると、同じ歳くらいのお母さんや職員の方と仲良くなって、知り合いが増えていきました。みなさん近所に住んでいてお話する機会も多く、娘を一緒に育ててもらっている感じですね。人の多い都会に住んでいるほうが、逆にこういった知り合いの輪は広がらなかったんじゃないかって思います。
あと、厚真に住んでみて新鮮だったのが、道ですれ違うとみんな自然と挨拶をすること。知り合いじゃなくてもするんです。名前の知らない子どもが、娘を見て「歩けるようになったんだね!」とか声をかけてくれるのは、厚真の良さだなって思います。そうやって色んな人と関われる場所で育つことって、きっと子どもにとってもプラスになるんじゃないかな。
勇人さん:札幌に住んでいた時は夜型でしたけど、農業やっている今はまったく真逆で、ものすごい朝型です。健康的ですし、早く家に帰って来られるぶん、子どもと遊ぶ時間もちゃんとあるのがいいですね。子どもをお風呂に入れる余裕だってあります。あのまま美容師を続けていたら、それもなかなか難しかったと思います。
加那絵さん:夫がそうやって育児もできるライフスタイルになったので、私も中学校の教員の仕事に復職しようって思えるようになったと思います。夫と同じく、厚真に移ってこなかったら、そういう考えにならなかったかもしれないですね。
今は、町外から来た人が住むことのできる「子育て支援住宅」に住んでいるので、同じようにお子さんのいるご近所さん同士で交流できるのも良いですよね。
加那絵さん:私は、厚真の田舎祭りがすごく好きなんです。大きな広場の真ん中で、BBQをみんなでするんです。厚真のじゃがいもで作るポテトフライとか、あづまジンギスカンとか、地元の食材をみんなで楽しみます。こういうスタイルの祭りはなかなかないから、札幌の友だちも気に入って遊びに来てくれます。
勇人さん:厚真って確かに田舎なんですが、アクセスがいいんですよ。札幌まで1時間ちょっとですし、新千歳空港までも30分くらい。田舎だからといって色々諦めなくて良いというか。近くにコンビニとかあれば便利なんでしょうけど、無ければ無いなりの生活ができていますね。
加那絵さん:札幌の実家に住んでいる母も、来やすいです。遠くに嫁いだ、って感じは全然ないですね。でも、星空とかはスゴイんですよ。札幌にいたころは、わざわざ星のきれいな場所に見に行ったりもしていたんですが、厚真だと玄関出れば、天の川が広がってるんです。こんなに見えるんだ!って最初の頃は驚きましたね。
勇人さん:近所には「宮の森こども園」という素敵な保育園もあるので、子育てする環境としてはすごく恵まれています。
加那絵さん:待機児童の問題とかがある都心だったら、保育園に入れなかったかもって思ったりします。でも、ここなら歩いていける距離に、あんなキレイな保育園があって、すぐに入園することができるのは、本当にいいですね。札幌の知り合いからも羨ましがられます。
それと食のことも大きいです。米も野菜も、何を食べても美味しい!安心して子どもに食べさせられる食材が手に入りやすいのは、いいですよね。